<スケジュール>
提出期限:令和5年7月1日~7月10日まで
算定基礎届とは4月から6月の従業員の報酬金額をもとに、その年の9月から1年間の社会保険料の基本となる標準報酬月額を決定するために日本年金機構に提出する書類を指します。
社会保険料は従業員の報酬から毎月算出するのではなく、算定基礎届で申告した報酬を標準報酬月額の等級に当てはめて算出します。
この手続きを定時決定といい、従業員の報酬と標準報酬月額の等級に差が生じないように1年に一度見直しを行います。
本記事では、算定基礎届について書き方や提出方法、標準報酬月額の算出方法を具体的に解説します。
算定基礎届(定時決定)とは?
定時決定とは、1年に一度、従業員の標準報酬月額を見直すための手続きです。
標準報酬月額とは、従業員の健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料の社会保険料額を算出する基盤となるもので、毎年4月から6月の賃金・給与・手当などその他名称に問わず、被保険者が労働の対価として受け取る報酬額の平均を保険ごとに定められている等級にあてはめた金額をいいます。
この報酬額を記載した書類を「算定基礎届」といい、事業所はこれを毎年7月10日までに日本年金機構に提出しなければなりません。
日本年金機構は、算定基礎届をもとに昇給や手当の増減などの理由から実際の報酬と現在の標準報酬月額に乖離がないか見直しを行い、社会保険料額を算出します。
月額変更届(随時改定)との違い
月額変更届とは、毎年決まった時期に提出する算定基礎届とは異なり、一律の金額で支給される給与や手当などの固定的賃金に大きな変動が生じた際に標準報酬月額を見直すため提出する書類です。この手続きを随時改定といいます。
月額変更届が適用されるのは、従業員の昇給や降給などの理由から固定的賃金が変動し、その後の3ヶ月分の報酬の月額平均と現在の標準報酬月額に2等級以上の差が通年生じることが見込まれる場合です。
この場合に随時改定を行い、変更された固定的賃金の報酬が発生した月から起算して4ヶ月目からの保険料を決定します。
たとえば9月に従業員が昇給し、9月〜11月の3ヶ月分の報酬平均と標準報酬月額に2等級以上の差が生じる場合は随時改定に該当するため、月額変更届を提出し12月分からの社会保険料を変更します。
なお、報酬の月額平均は固定的賃金のほかに残業代などの非固定的賃金も含めて計算します。
8月もしくは9月に随時改定を行う場合には、本来毎年7月10日までに提出しなければならない算定基礎届の届出省略の申請を行い、月額変更届を提出します。
届出省略の申請方法は紙媒体、電子媒体および電子申請によって異なります。
紙媒体の場合は、算定基礎届作成時に、該当する従業員の月額報酬欄を空欄にして右の備考欄「月額変更予定」を○で囲み提出します。
電子媒体および電子申請の場合、8月または9月の随時改定予定者を除いた算定基礎届を作成し提出します。この場合「提出がない」ことが事業主からの申し出とみなされます。
日本年金機構で算定基礎届の処理が完了すると、7月中旬より順次「標準報酬月額決定通知書」が事業所に郵送されます。
届いた標準報酬月額決定通知書の内容を、事業所から従業員それぞれに通知します。正当な理由なく従業員に通知しない場合、6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられますので注意が必要です。
なお、「標準報酬月額決定通知書」は健康保険法34条および厚生年金保険法28条にて通知の決定がされてから2年間の保存が義務づけられています。