「労働者協同組合」の解説

労働者協同組合とは、組合員が出資し、それぞれの意見を反映して組合の事業が行われ、

組合員自らが事業に従事することを基本原理とする新しい法人形態で、令和4年10月に

「労働者協同組合法」が施行されてスタートしました。

今回は、この「労働協同組合」について、解説します。

■株式会社、NPO法人との比較

株式会社、NPO法人との主な項目における比較は下表の通りです。

  労働者協同組合 株式会社 NPO法人
目的・事業 非営利。労働者派遣事業以外何でも出来る。

地域課題の取組を想定。

営利追及 特定非営利活動(20分野)
設立手続き 準則主義* 準則主義 認証主義**
議決権 1人1個 出資比率による 原則1人1個
主な資金調達 組合員の出資 株主の出資 会費・寄付
配 当 従事分量配当 出資配当 できない

*準則主義=法の要件具備で法人格取得、**認証主義=書面審査により行政が認証する。

株式会社は株主のものであり、労働者の経営への関与がありません。NPO法人では構成員の労働がボランティアベースになっていることが多くみられます。これらに対し、労働者協同組合では組合員は議決権、出資、配当について権利を持ち、また労働契約の義務化により、労働者としての権利が保障されています。

これまで地域での子供・高齢者サポートなどの取組はNPO法人の形態を選んでいることが多くありましたが、労働者協同組合への移行が期待されています。労働者にとっては安定した働き場所が確保できますが、反面、事業の継続性への責任がより強く求められると言えます。

■労務上の留意点

注意することとして、「労働者協同組合(ワーカーズコープ)」等を名乗って、労働者採用に際し、出資を強制したり、「(経営者の立場だから)残業代は出ません。」と言ったりなどのトラブル事例報告がありますが、本末転倒の不当なものであることは言うまでもありません。

参考:厚生労働省サイト:知りたい労働者協同組合法  https://www.roukyouhou.mhlw.go.jp/

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